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  HOME >> 六然の森 >> 評論家の森 >> 顔写真一覧 >> 姜尚中

姜尚中

(カン サンジュン1950年8月 - )は、熊本県生まれの政治学者、テレビタレント。
在日韓国朝鮮人二世として熊本市に生まれる。
父は1917年、慶尚道昌原郡南山里生まれで、1931年によりよい生活を求めて渡日。
その後生活が安定した後、故郷で結婚を決めていた許婚・禹順南を呼び寄せた。
また、叔父の一人は日本で高等教育を受け、大学卒業後は旧日本軍に入隊し憲兵として権勢を振るった。
戦後、父親は廃品回収業を営み経済的に成功する。
熊本県立済々黌高等学校を経て早稲田大学政治経済学部卒業。
早稲田大学大学院政治学研究科博士課程を修了。
西ドイツ・エアランゲン大学留学(1979年 - 1981年)後、明治学院大学講師、国際基督教大学準教授を経て、東京大学教授(所属:社会情報研究所 情報行動部門)。
現在、東京大学情報学環教授。
専攻は政治学・政治思想史。
研究分野はアジア地域主義論・日本の帝国主義を対象としたポストコロニアル理論。
当初、日本名永野鉄男(ながのてつお)を名乗っていたが、早稲田大学在学中、韓国文化研究会に参加し、1972年訪韓以来、民族名を使用する。
在日韓国学生同盟(韓国文化研究会)が連帯を謳っていた韓国における学生運動から「左の独裁にも右の独裁にも反対する」という声明が出たときに、これを、丸山眞男の「民主主義の永久革命」と読み替えていくことにより北朝鮮に対してさめた眼を保ち得たと後に語っている。
1984年、外国人指紋押捺を拒否するが、ヒロイズムとは違った道でしか解決は見出せないと考え、最終的には押捺に応じる。
この間の苦渋に満ちた経験からプロテスタントの洗礼を受けた。
近年は朝まで生テレビ!を始め、多くの討論番組やトーク番組に頻繁に出演し、独特の語り口調で知られる。
論敵は親米保守の村田晃嗣であり、主に外交問題にて対立。
番組終了とほぼ同時に席から立ち上がって、スタジオを去り行くことが多い。
50歳にして運転免許を取得。
最近の趣味は登山・ドライブ・絵画。
mixiにコミュニティーも存在する。

思想

ポストコロニアリズム思想としてのエドワード・サイードの影響が強く見られ、彼の言動は、サイードの著作『知識人とは何か』(平凡社)に通じるところが多い。

在日韓国朝鮮人という立場を、サイードの言う「周辺者」あるいは「亡命者」とみなし、日本と韓国という二つの祖国をもつ独自の存在とし、日本社会が歴史的に捉えてきた朝鮮史観、およびそこにある偏見に対して批判を加えている。

日本の戦前の朝鮮史観の始まりは、山県有朋の「主権線・利益線」にまで遡る。

日本の近代化としての理想像が西欧社会であるならば、その反転としての未開地域、停滞地域として朝鮮半島が、そして東北アジアが「発見」されたと説く。

終戦後、丸山眞男のいう「悔恨の共同体」を経て、経済復興、高度経済成長を背景に「日本特殊論」などが登場してくる中で、西欧との同一化と差異化のプロセスとして再び戦前と同様の東北アジア史観が「再発見」されたと考える。

つまり、彼の主張によれば、戦前の東北アジア史観は現在も残存しており、それは言い換えれば、朝鮮民族などに対する偏見・差別が日本社会に未だに根強く残っているということであり、在日社会はそれを毎日経験していることになる。

ナショナリズム批判についての著作も多いが、これは単純なナショナリズム批判を意味するのではなく、ましてや日本国内に限定されたナショナリズム(日本には批判的、他国には同調)を意味するものでもなく、現在の世界システムを自由主義経済による支配システムとして考えた場合、その中枢にいる一握りの経済大国と周辺に追いやられた諸国との経済格差は無視できないどころか、ますます大きくなっていると説く。

そうした場合に、有無を言わさず周辺化される力学に反抗する手段としての、いわばイマニュエル・ウォーラステインのいう「反システム運動」としてのナショナリズムに対しては一定の理解を示す。

また、そうした意味で、サミュエル・ハンチントンが言うような「文明の衝突」に対しても、世界システムにおける中枢国と周辺国の格差を無視したオリエンタリズム的図式であるとする。

彼にとっては、極右知識人も極左知識人も、いわばサイードの言う「常に失敗する神々」であり、絶対的な神に委ねられた思想崇拝に対する危険性を看破する。

それゆえ、現在のアメリカが掲げる「自由と民主主義」の絶対的理念に対しても冷めた見方を示し、9・11テロ以降、イラク戦争に至るアメリカの一国主義には徹底した批判を展開した。

「大衆こそ、知識人にとってのナチュラルな支援者である」とするサイードの言葉のごとく、種々の専門家に対して発言するだけでなく、メディアを通して生身の自分をさらすと同時に、大衆に対して淡々と自らの主張を説く。

単著

『マックス・ウェーバーと近代――合理化論のプロブレマティーク』(御茶の水書房, 1986年/岩波書店[岩波現代文庫], 2003年)
『アジアから読む日本国憲法』(かもがわ出版, 1993年)
『アジアから日本を問う』(岩波書店[岩波ブックレット], 1994年)
『ふたつの戦後と日本――アジアから問う戦後50年』(三一書房, 1995年)
『オリエンタリズムの彼方へ――近代文化批判』(岩波書店, 1996年/岩波現代文庫, 2004年)
『ナショナリズム』(岩波書店, 2001年)
『東北アジア共同の家をめざして』(平凡社, 2001年)
『暮らしから考える政治――女性・戦争・食』(岩波書店[岩波ブックレット], 2002年)
『日朝関係の克服――なぜ国交正常化交渉が必要なのか』(集英社[集英社新書], 2003年)
『反ナショナリズム――帝国の妄想と国家の暴力に抗して』(教育史料出版会, 2003年/講談社[講談社+α文庫], 2005年)
『在日』(講談社, 2004年)
『在日――ふたつの「祖国」への思い』(講談社[講談社+α新書], 2005年)
『姜尚中の政治学入門』(集英社[集英社新書], 2006年)
『愛国の作法』(朝日新聞社[朝日新書], 2006年)

共著

(安斎育郎・朱建栄・松井やより・村山晃)『アジア・女性・沖縄が問う日本』(かもがわ出版, 1996年)
(石田雄)『丸山眞男と市民社会』(世織書房, 1997年)
(中村雄二郎)『インターネット哲学アゴラ――文化』(岩波書店, 1999年)
(宮台真司・水木しげる・中西新太郎・若桑みどり・石坂啓・沢田竜夫・梅野正信)『戦争論妄想論』(教育史料出版会, 1999年)
(宮崎学)『ぼくたちが石原都知事を買えない四つの理由。』(朝日新聞社, 2000年)
(吉見俊哉)『グローバル化の遠近法――新しい公共空間を求めて』(岩波書店, 2001年)
(網野善彦・田中優子・樺山紘一・成田龍一・三浦雅士・小熊英二)『「日本」をめぐって――網野善彦対談集』(講談社, 2001年)
(森巣博)『ナショナリズムの克服』(集英社[集英社新書], 2002年)
(齋藤純一・杉田敦・高橋哲哉)『思考をひらく――分断される世界のなかで』(岩波書店, 2002年)
(キャロル・グラッグ・テッサ・モーリス=スズキ・比屋根照夫・岩崎奈緒子・タカシ・フジタニ・ハリー・ハルトゥーニアン)『日本の歴史(25)日本はどこへ行くのか』(講談社, 2003年)
(田原総一朗・西部邁)『愛国心』(講談社, 2003年/講談社+α文庫, 2005年)
(内田雅敏)『在日からの手紙』(太田出版, 2003年)
(宮台真司)『挑発する知――国家、思想、そして知識を考える』(双風舎, 2003年)
(きくちゆみ・田島泰彦・渡辺治)『「イラク」後の世界と日本――いま考えるべきこと、言うべきこと』(岩波書店[岩波ブックレット], 2003年)
(佐高信)『日本論』(毎日新聞社, 2004年)
(テッサ・モーリス=スズキ)『デモクラシーの冒険』(集英社[集英社新書]、2004年)
(森達也)『戦争の世紀を超えて――その場所で語られるべき戦争の記憶がある』(講談社、2004年)
(井筒和幸・井上ひさし・香山リカ・木村裕一・黒柳徹子・猿谷要・品川正治・辛酸なめ子・田島征三・中村哲・半藤一利・ピーコ・松本侑子・美輪明宏・森永卓郎・吉永小百合・渡辺えり子)『憲法を変えて戦争に行こう―という世の中にしないための18人の発言』(岩波書店[岩波ブックレット], 2005年)
(吉田司)『そして、憲法九条は。』(晶文社, 2006年)

編著

『ポストコロニアリズム』(作品社, 2001年)
『「日米関係」からの自立――9・11からイラク・北朝鮮危機まで』(藤原書店, 2003年)

共編著

(西川長夫・西成彦)『20世紀をいかに越えるか――多言語・多文化主義を手がかりにして』(平凡社, 2000年)
(青木保・小杉泰・坂元ひろ子・莫邦富・山室信一・吉見俊哉・四方田犬彦)『アジア新世紀(全8巻)』(岩波書店, 2002年-2003年)
(水野直樹・李鍾元)『日朝交渉――課題と展望』(岩波書店, 2003年)
(『アリエス』編集部)『姜尚中にきいてみた!――東北アジア・ナショナリズム問答』(講談社[講談社文庫], 2005年)

共訳書

Z・A・ペルチンスキー編『ヘーゲルの政治哲学――課題と展望』(御茶の水書房, 1989年)

受賞

青丘文化賞、1995年
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』  最新ソース
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